鯉渕学園28期 鳥取県徳田要介さんの記事が現代農業2021年1月号に掲載されました

10アール20分のラジコンボート直播

動力散布機は重くて辛い

2016年から湛水直播を続けています。以前は動力散布機を使い、催芽モミを10a5㎏播種していましたが、20a以上の田んぼだと種子量が10㎏を超し散布機と合わせると25㎏。背負うのが辛くなり、何とかラクに播種できないものかと悩んでいました。ドローンでの播種も考えましたが、価格が高く免許も必要・・・・。そこで思いついたのが、ラジコンボートに播種機を装着する方法でした。

 当初、ボートの船体はポリカーボネート板を加工して作りましたが、手間がかかりすぎるしスタイリッシュじゃない。そこで、ウインドサーフィンのボートを半分にカットして使うことにしました。次に動力ですが、草刈り機の4サイクルエンジンを加工し、プロペラを装着。田んぼの近くには住宅地がありますが、4サイクルなので騒音が抑えられます。

 実際に水田で播種してみると、強風に流され操縦が難しいことがありました。そこで、ボートの底の真ん中に直進性を確保するプラスチックのガイド(長さ10センチ深さ2センチ)を装着したところ、風の影響をある程度防げるようになりました。

除草剤もボートで散布

 2020年、初めてボートを実際の栽培で使ってみました。私個人の田んぼ1.1haの他、4軒から1.4haの播種作業を受託。まずは種モミの準備ですが、散粒機でスムーズにモミが散布できるよう、コーティングはしていません。温湯処理した種子を、播種当日に洗濯機で脱水。10a当たり催芽モミ5㎏播種します。

 ボートを座礁させないため、代かき後、播種時まで水深5cmを保ちました。雑草の繁茂やスズメの食害を避けるため、播種後も基本的に湛水状態を保ちます。また、カモの食害を防ぐために、田んぼの外周に防鳥糸を張っていますが、20年は面積が増えて被害が分散されたためか、カモの食害はほとんどありませんでした。

 播種後の除草剤も同じボートで散布します。播種直後に初期除草剤、20日後に中期除草剤を散布。10a当たり20分あれば散布できます。20年の平均反収は485㎏となりました。16年には、ボートこそ使っていませんが、同じ管理方法で反収580㎏とれています。

持続可能なイネつくりのために

 初めてボートで播種して一番感じたのは、作業がとてもラクになったということです。操縦には慣れが必要ですが、一度に全部播くのではなく、田んぼ全面を2,3往復させれば、均一に播けると思います。

 国は「スマート農業で機械化し、補助金を出して農業を持続させる」そうですが、現実はどうでしょう? 鳥取では耕作放棄地が増えています。今のイネつくりは、お金がかかりすぎるのです。いったん放棄された土地には雑草が繁茂し、ひどくなると樹木まで生えてしまう。これを食い止めるためには、生産経費の削減が必要不可欠です。

 私が湛水直播を始めたのも、どうしたら持続可能なイネつくりができるか考えた結果です。安いボートで直播できれば、苗を買う、つくる必要がなく、10aで2万円ほど軽減できます。播種時間は10a20分。時間、経費、作業性、どれを見てもいいことばかりです。

※ 徳田さんご活躍ですね。
荒廃農地の問題は本当に深刻です。
私たちの地域は水害常襲地で江戸時代には集落のほとんどが流され、現在の高台まで移転しました。
今は、立派な堤防が建設されましたが2019年の台風では、あとわずかで千曲川の水が堤防を超すところでした。
その、河川敷となっている肥沃の農地が年ごとに荒廃農地となっているのです。
ここに畑地灌漑施設が設置されており、毎年とは言わないまでも洪水による水害でたびたび破損し、多額な税金を投入して復旧工事が繰り返されています。
地主は高齢化や一人暮らし、後継者難等で仕方なく荒廃農地としていますがこの土地改良区の負担金は少なくなく、高齢者の生活そのものを脅かしています。
千曲川の洪水によって運ばれた肥沃の土が、生産力の高い農地にしてくれているのですが。

                                                                                       K S

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